
受け口とは?
受け口とは、上の前歯よりも下の前歯が前に出ている噛み合わせの状態を指し、専門的には「反対咬合(はんたいこうごう)」と呼ばれます。
受け口の主な種類
受け口(反対咬合)は、原因や特徴により大きく3つのタイプに分類されます。
1. 骨格性反対咬合
上顎の成長不足、あるいは下顎の過成長により起こるタイプです。上下の顎の骨のサイズが著しく異なるという骨格的な問題が、根本的な原因です。
2. 歯槽性反対咬合
顎の骨には問題がなくても、**歯の傾き(前歯の角度)**が原因で受け口になるケースです。たとえば、上の前歯が内側に傾いていたり、下の前歯が前方に傾いていたりすると、見た目に受け口のように見えます。
3. 機能性反対咬合
口を閉じる際に前歯が先に当たってしまい、奥歯が噛み合わないために、無意識に下顎を前に突き出すタイプです。歯並びや噛み合わせの癖によって引き起こされることが多く、改善可能なケースもあります。
原因と注意点
受け口の原因は、遺伝的な要因に加えて、日常の生活習慣や癖も大きく関係しています。指しゃぶり、舌の位置異常、姿勢の悪さなども影響を与える可能性があります。
受け口を放置するとどうなる?考えられる5つのリスク
受け口(反対咬合)をそのままにしておくと、見た目の問題だけでなく、健康や日常生活にさまざまな影響を及ぼす可能性があります。ここでは、受け口を放置することで生じる主な5つのリスクを解説します。
① 発音への悪影響
舌の動きが制限され、口腔内のスペースが狭くなるため、発音が不明瞭になることがあります。特に、「タ行」「ナ行」など舌先を上あごに当てる発音がしづらく、会話に支障をきたす場合もあります。
② 胃腸への負担増加
前歯で食べ物をしっかり噛み切れず、奥歯の噛み合わせも不十分なことが多いため、食べ物をしっかり咀嚼できない状態に。結果として、消化不良や胃腸への負担が増大し、体調不良につながることもあります。
③ 虫歯・歯周病のリスク上昇
受け口の方は口呼吸になりやすく、口腔内が乾燥しがちです。唾液の減少により、口内の自浄作用が弱まり、虫歯や歯周病、さらには口臭のリスクも高まります。
④ 顎関節への負担
顎関節症は多因子性疾患ですが、受け口は、噛み合わせがずれることで、顎関節症の要因になります
⑤ 見た目のコンプレックスにつながる
受け口の見た目を気にして、自信を失ったり、コンプレックスを抱えるケースも少なくありません。特に思春期や若年層では、外見への不安が自己肯定感の低下や心理的ストレスにつながることもあります。
受け口はインビザラインで治せる?
インビザラインは、透明なマウスピースを使って歯並びを整える矯正治療で、見た目が目立たないという理由から人気を集めています。では、受け口(反対咬合)もインビザラインで改善できるのでしょうか?以下で詳しく解説します。(インビザライン公式サイトはこちら)
インビザラインで治療できる受け口
インビザラインは、軽度〜中等度の受け口に対して有効な矯正方法です。
以下のようなケースでは、インビザラインでの改善が期待できます。
・歯の傾きが原因の受け口(歯槽性反対咬合)
・下の前歯が前に突出して見えるタイプ
・骨格のズレが小さい場合の骨格性反対咬合
これらのケースでは、マウスピースによって歯を段階的に動かし、噛み合わせを整えることが可能です。
インビザラインで治療が難しい受け口
一方で、重度の骨格性反対咬合の場合は、インビザラインだけでの治療は困難です。
たとえば、
・上顎と下顎の骨格差が大きい場合
・下顎が大きく前に突出している場合
このようなケースでは、歯列矯正のみでは根本的な改善が難しく、外科的手術(顎矯正手術)を併用する治療が必要となります。
インビザラインで受け口を治療する3つのメリット
インビザラインは、透明なマウスピースを使用して歯並びを整える矯正方法です。見た目や快適さの面で多くの利点があり、受け口の治療にも活用されています。ここでは、インビザラインで受け口を治すメリットについて、3つのポイントに分けてご紹介します。
① 矯正装置が目立たない
インビザラインは透明なマウスピースを使用するため、装着していてもほとんど目立ちません。
・ワイヤーやブラケットのような金属の装置が不要
・周囲に気づかれにくく、仕事や学校など人前に出る機会が多い方に人気
・笑顔や会話の際も自然な印象を保てる
見た目が気になる方でも、安心して治療を受けることができます。
② 日常生活への影響が少ない
インビザラインは、取り外しができるマウスピース型の矯正装置です。
・食事や歯磨きの際に取り外せるため、食べ物の制限やお口のケアのストレスが少ない
・マウスピースを外せば、スポーツや楽器演奏などの趣味にも支障なし
・衛生的で、むし歯や歯周病のリスクを抑えやすい
ライフスタイルを変えることなく、矯正治療を進められます。
③ 痛みや不快感が少ない
インビザラインは、歯を少しずつゆっくりと動かしていく仕組みのため、矯正中の痛みが比較的少ないのが特徴です。
・ワイヤー矯正のように、金属が頬の内側を傷つける心配がない
・口内炎になりにくく、ストレスを感じにくい
・違和感が少なく、快適な装着感
「矯正は痛そう」と不安な方にとっても、安心して始められる治療法です。
インビザラインで受け口を治療する際の3つのデメリット
インビザラインは目立たず快適な矯正治療法として人気がありますが、すべての症例に適しているわけではありません。受け口の治療においても、事前に知っておくべきデメリットがあります。ここでは、インビザラインによる受け口矯正の主なデメリットを3つにまとめて解説します。
① 矯正できないケースがある
重度の骨格性反対咬合(骨格の問題による受け口)の場合は、インビザラインでは治療困難です。
・顎の骨格差が大きい場合は、外科手術が必要になることも
・術後の矯正は、ワイヤー矯正が推奨されるケースが多い
・歯を大きく動かす必要がある症例では、ワイヤー矯正のほうが適している
※外科矯正(顎の手術を伴う場合)は、特定の条件を満たすことで保険適用となる場合もありますので、ワイヤー矯正前提でご検討ください。
② 自己管理が必要
インビザラインは、自分で取り外しできるマウスピース矯正のため、特に自己管理が求められます。マウスピースを適切に使用する必要があります。
・1日20時間以上マウスピースを装着し続ける必要がある
・マウスピースを交換できるタイミングになったら速やかに交換する
・マウスピースを紛失したり、破損させたりすることを回避する
マウスピースを適切に使用しない場合には、治療が長引いたり、思うような効果が得られないリスクがあります。
③ 保険適用ではなく、自由診療です。
受け口をインビザラインで治すためにかかる期間と費用
インビザラインは、目立たず快適に歯並びを整えられる矯正方法として人気があります。ここでは、受け口をインビザラインで治療する際にかかる期間と費用の目安について解説します。
■ 矯正期間の目安
インビザラインによる受け口の治療期間は、平均で約2〜3年程度です。ただし、これはあくまで目安であり、症状・歯並びの複雑さ・自己管理の程度により期間は変動します。
・軽度の受け口の場合:比較的短期間(1〜2年)での改善が期待できる
・歯並びが複雑な場合や骨格的な要素を含む場合:2〜3年で改善することが多い
※インビザラインは取り外すことができるため、マウスピースを適切に使用できるかどうかが、治療期間に大きく影響します。
■ 矯正費用の目安
受け口をインビザラインで治す場合の費用は、治療範囲・症例の難易度・自己管理の程度により大きく異なります。また、自由診療のため歯科医院ごとに異なります。
・部分矯正(前歯のみの改善など):約 30万円〜40万円
・全体矯正(奥歯を含む咬み合わせ全体の調整):約 70万円〜100万円
受け口は、全体矯正が必要な場合が多いです。
まとめ
受け口の矯正に、透明なマウスピースを使った「インビザライン」は適しています。装置が目立たず、日常生活に支障をきたしにくいため、多くの方に選ばれています。
受け口を放置すると、噛み合わせの悪化や発音・咀嚼への影響など、日常生活にさまざまな不具合を引き起こす可能性があります。
インビザラインで効果を得るには、マウスピースを適切に使用することが必要で、定期的な通院による調整も欠かせません。
受け口矯正をお考えの方は、一宮駅から徒歩5分の「脇田歯科」まで、お気軽にご相談ください。